日々の暮らしや、愛犬の豆柴センパイと愛猫の捨て猫コウハイとの暮らしを書く、エッセイスト「石黒由紀子」さん。
愛猫家の私は、インスタグラムで豆柴のセンパイと猫のコウハイの日々の投稿が可愛らしく、しかも2匹のネーミング最高だわ(笑)と思い、フォローさせていただいていました。
15歳のおばあちゃん犬「センパイ」はよく狭い所に「ハマって」いるのが可愛すぎるし、見た目がノルウェージャンみたいな長毛の雑種の猫の「コウハイ」は、10歳でもうおじさんなのに子猫心を忘れておらず、無邪気さが伝わってきて、いつも「ほっこり」させてもらっているのです。
「猫は、うれしかったことしか覚えていない」は、猫の「コウハイ」との日々のこと、著者の友人知人とその飼い猫のことを綴ったエッセイで、著者が「コウハイから学んだこと」がなんだか沁みる、癒し系ほっこりエッセイです。
とっても温かい気持ちになりました。疲れたときに読みたいエッセイです
ミロコマチコさんの挿画がかわいくて面白いから、紙本がおすすめだよ!
猫は、うれしかったことしか覚えていない
「コウハイ」がある日梅干しの種を誤飲してしまい、開腹手術をして摘出。
動物病院で、「誤飲した子は必ずと言っていいほど、またしますよ。」と言われたそう。
「猫には、楽しい記憶だけが残ります。コウハイちゃんには、梅干しの種(と認識しているかどうかは別として)を転がして遊んでおもしろかったな、という記憶だけが残り、苦しくなって手術して、入院までして大変だったということは、そのうち忘れます。」
猫は、うれしかったことしか覚えていない より
このインパクトのある本のタイトルは、こんなエピソードから生まれたのだとか。
タイトルはひとり歩きし、Twitterでバズったりしたようですが、「楽しかった記憶だけが残る」というのには賛否両論。「都合のいい解釈をするな」など批判的な声もあったようです。
私は猫を飼っていますが、確かに動物病院に連れていくときは怖がっていますし、以前に私の不注意でタンスの扉に猫の手が挟まってしまい!(大事には至らなかったです!)その時の痛みは、今も忘れられないようで、今だにタンスを開けるたびに逃げてしまいます…(エル。ごめん…)
科学的根拠はないようですし、もしかしたら「楽しかったこと+大変だったこと」がセットの場合は「楽しかったこと」が優勢になるのかもしれません。
そうだったとしたら、なんというお気楽な生き物…(笑)
猫は、過ぎたことを引きずることなく、うれしかったことを積み上げて生きていくのです。
猫は、うれしかったことしか覚えていない より
「お気楽」で「純粋」なんですよね!
私が共感したところ
猫への憧れ
「過去にとらわれたり先々を思い悩むより、今をしっかり生きよう」、そう思うようになったのもコウハイの純粋さに憧れて。
はじめに より
あれこれ考えるのが人間ですが、猫の純粋な「シンプルな思考」「お気楽さ」には憧れます。
ジャンプに失敗しても気にしないし(恥ずかしそうにはしますが…)、ガッツいて食べるとすぐ吐くくせに、いつもガツガツ早食いするし(それは学習して欲しいけど)。
先々を思い悩むなんて、皆無。
猫って、急に走り出したり、人には見えない敵(?)と戦ったりしますよね。
猫は、オンオフを切り替える より
する!する!
夜中のひとり運動会とか。
さっきまで寝ていたのに、家じゅうをダッシュ!部活ですか?ってくらいに何本もダッシュ!
かと思えば、何時間もほぼ一日中昏々と眠ったり…
不思議なんだけど、猫ってこういう生き物。
オンとオフの切り替えの見事さに憧れるようになりました。スイッチがオンになったときの集中力、真剣さ。オフラインのゆるみ具合、ひたすら眠る徹底ぶり。何とも上手に自分をコントロールしています。
猫は、オンオフを切り替える より
好奇心や欲求、その時の気分に純粋で、好きなものは好きだし興味がなければ見向きもしない。今はこうしたいから、こうする。特に何も考えてない「いつでも自然体」。
ただ、ただ「今を生きてる」感じに憧れるな~
猫から学ぶこと
何事にも好奇心を持って臨むこと、失敗しても「それはそれ」と先へ進むこと、正直で媚びず、いつも機嫌がいいこと(寝起き以外)。夢と希望を持ち、それが叶わなかったら明るくあきらめること……。これらは私がコウハイから学んだこと。
はじめに より
猫はいつでも前向きで機嫌がいいと思う。一日中機嫌悪いなんてない。(体調不良以外は)
たとえ何かに失敗しても、しっぽをピーンと立ててごきげんさん。
怖かった動物病院から帰って来て、おやつ食べればしっぽピーン。
引きずらず、前向き。
猫は余計な力みが抜けています。めげないし、落ち込まない。そして、前向きに明るくあきらめるのです。
猫は、落ち込まない より
猫同士のつきあい方にしても、「学び」がある。
「先住猫」と「新入り」の関係。
猫は単独行動を好む動物なので、兄弟とか、子供の頃から一緒だったという以外は、仲良しになることは稀なことがよくあります。
ひとりが心地いいんだよな~
仲良くなるまではいかず、「あ、いるな」とお互いを認識しても、険悪にはならない、というくらいまで。そして、何年経ってもその距離はそのままのことが多いとか。
でも、それで十分ですよね。私は思いました、「人と人も、こんな感じでいいのではないかな」。
猫は、ほどよく無視する より
うんうん。人間関係もこれぐらいの気持ちでいるほうが気楽!
猫たちのように「認めているけれど、スルーしあえる仲」があってもいいのです。
猫は、ほどよく無視する より
まとめ
猫飼いなら、「あるある!」と「猫との暮らしあるある」でほっこりしたり。
「そうかも、猫ってこんな風に考えてるのかも…。」と想像をめぐらせたり…。
クスッと笑えてほっこりするだけではなく、猫の生き方からあらためて「学び」をもらえたり。
癒し系でほっこりするけど、ちょっと感慨深くて沁みる要素もある、何度も読み返したいな…と思うエッセイでした。
軽くサラッと読めて、のんびりとおうち時間を過ごしたいときにおすすめです!